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手紙 · 読了23分

喪中の正月の過ごし方:喪中はがき・寒中見舞い・家族への手紙

大切な人を亡くして初めて迎える年末年始に。喪中の正月の過ごし方、喪中はがき・寒中見舞いの文例、食卓でのひとこと、子供への伝え方、家族への手紙までまとめました。

執筆:Goodbye Appチーム · 2026年10月20日

薄暗い部屋で、濃い色の木の燭台にともる二本の太いろうそくと、その奥にぼやけて見える明かりのついたクリスマスツリー
写真:Leonardo Delsabio(Pexels)

最初の気配は、早くからやってきます。11月の初めには郵便局に来年の年賀はがきが並び、郵便受けには今も二人の連名で郵便が届きます。家族のLINEグループでは、誰かが遠慮がちに「今年のお正月、どうする?」と尋ねます。やがてスーパーの棚には、母が毎年買いすぎていた栗きんとんの瓶が並びます。大切な人を亡くして初めて迎える喪中の正月は、当日の何週間も前から始まっていて、その多くは、誰も言い出し役になりたくない小さな決めごととしてやってきます。

このページは、その決めごとを抱えている家族のために、喪中の年末年始の過ごし方をまとめたものです。どこで過ごすか、喪中はがきや寒中見舞いをどう書くか、食卓で何を話すか、子供をどう支えるか、そしていちばん悲しんでいる人への手紙。後半には、喪中の人に言葉を送る友人のための文例と、日本の喪中の習わし、さらに中国の春節やベトナムのテト、イスラム教のイードを喪中の家族がどう迎えるかも載せています。例に登場する家族は架空のもので、文例はどれも、自分の家に合わせて書き換えて使ってください。

喪中の年末年始が、ほかの「初めて」と違う理由

亡くなってからの一年は、「初めて」が続く暦のようなものです。その人のいない初めての誕生日、初めてのお盆、衣替えをしてもその人の服だけがたんすにしまわれたままの、初めての季節。命日や法要で何を話すかは、四十九日・一周忌の施主挨拶の例文をご覧ください。年末年始がほかの「初めて」と違うのは、毎年の繰り返しで成り立っているからです。同じ料理、同じ顔ぶれ、同じ人の手でこなされる同じ役目。だからこそ、誰も考えずにすんでいました。今年は、そのひとつひとつを誰かが考えなければなりません。誰が煮しめを作るのか。誰が喪中はがきの宛名を書くのか。誰がサンタ役を引き受け、誰が和子おばさんに電話をかけるのか。どの問いも、同じ空席を指しています。

多くの人は、当日よりもその前の数週間のほうがつらいと感じます。イギリスの緩和ケア団体マリー・キュリーで遺族支援を担当する人は、自分が支えてきた人たちの多くが、あとになってまさにそう振り返ると書いています。11月の時点でもう気持ちが重くても、それは大晦日や元日もそうなるという予告ではありません。

大切な人を亡くして初めての年末年始を乗り切るには、まず、いつもより少なくていいと自分に許すことです。はがきは少なめに、あるいは出さない。料理の品数を減らす。いつもと違う家で過ごす。大晦日のテレビの代わりに、夜の散歩に出る。亡くなってまだ数週間なら、どうしても必要なことだけをして、残りは誰かに決めてもらいましょう。日本の喪中のように、家や宗教によっては喪の習わしもあり、それは後半で紹介します。

年末年始の前に決めておきたい三つのこと

次の三つは、まだ話し合う時間のある11月のうちに決めておくと、ずっと楽になります。

どこで過ごすか。いつもの家なら、なじみのものも、ぽっかり空いたところも、そのまま目の前に残ります。その人の座椅子、その人の湯のみ、その人の味の煮しめ。親戚の家に集まれば、手間が分散され、部屋の空気も変わります。旅館や温泉宿に出かければ、毎年の段取りから全員が離れられます。それこそが必要だったという家族もいれば、午後にはもう家が恋しくなる家族もいます。どれを選ぶにしても、今年だけのこととして選び、みんなにもそう伝えておきましょう。

続けること、休むこと、試すこと。紙を一枚用意して、縦に三つの欄を作ります。これは、父であり祖父でもあった昭夫さんを春に亡くした架空の家族が、初めての年末年始を前に書き込んだ表です。

続けること今年は休むこと試すこと
大晦日は、昭夫さんの妹の典子さんの家で親戚20人が集まる正月二日の新年会元日のお昼は、こぢんまりした台所のテーブルで
孫たちへのクリスマスプレゼント毎年昭夫さんが読み手をしていたかるた大会食後のお茶の前に、一人ひとつずつ思い出話
元日の朝、橋まで歩く散歩座敷に並べる長い座卓食後に昭夫さんのレコードをかける
年末のお墓の掃除年賀状(今年は喪中はがきに)誰も比べずにすむ、初めての一品

その紙は、来年の11月に見つけられる場所にしまっておいてください。そのころには、欄の中身が変わっているかもしれません。

その人をしのぶ時間を作るか。当日のどこかで、誰かがその人の名前を声に出すかどうか、そしてそれを誰が言うかを決めておきます。成り行きに任せると、たいてい誰も言い出せず、全員が黙ってその人のことを考えたまま食事が終わります。前もって決めた時間があれば、たとえ30秒でも、食卓のみんなが、その人の話をしてもいいのだと思えますし、区切りもつきます。

そして、誰かが別の予定を入れてしまう前に、一通のメッセージで全員に伝えます。たとえば家族のLINEグループに、こんなふうに。

みんなへ。お父さんのいない年末年始のことを考えていて、ひとつ提案があります。都合が悪ければ遠慮なく言ってね。元日のお昼はうちで、いつもより小さく。今年は二日の新年会はなしにします。食後のお茶の前に、一人ひとつずつ、お父さんの話をしたいと思っています。話さなくても大丈夫。それから、おじいちゃんのために何をするかは、子供たちに一つ選んでもらおうと思います。

杏奈より

最後の一文は、わざと入れてあります。イギリスで子供の死別支援をしている団体ウィンストンズ・ウィッシュは、クリスマスをどう過ごしたいかを子供に尋ね、予定を決めてしまう前に子供の意見も聞くよう勧めています。

喪中はがき・寒中見舞いの書き方:差出人の名前と、添える一言

まず、出すかどうかから考えます。先ほどのマリー・キュリーの担当者は、自分の経験では、悲しみの中にある家族が無理をしてまでカードを出すことを期待する人はいない、と書いています。出さないことにしたら、姉妹や親しい友人など誰か一人に頼んで、周りに知らせてもらいましょう。そうすれば、便りが途絶えたことを誤解されずにすみます。年末に何十枚も書く代わりに、年が明けてから、年賀状をくれた人にだけ寒中見舞いを返すという方法もあります。出す時期の目安は、後半の習わしの章にまとめました。

出すことにしたなら、いちばんつらいのは差出人の名前かもしれません。夫や妻を亡くして初めての年末には、そこで喪失が紙の上の現実になることがあります。毎年二人の名前が並んでいた場所に、名前が一つだけ。印刷する本文には「おめでとう」などのお祝いの言葉を使わず、句読点も入れないのが一般的とされますが、手書きで添える一言は、ふだんの言葉でかまいません。下の表は、状況ごとの差出人の書き方と、添えるならその一言の例です。

状況差出人の書き方添える一言(必要なら)
夫や妻を亡くした人として出す自分の名前だけで:「佐藤 良子」「健一は毎年、山本さんからの年賀状を何より楽しみにしておりました。今年は私から、ひとことお伝えしたくて。」
親を亡くした家族として出す家に残る家族の連名で:「森 大輔・陽太・結衣・蒼」「美穂のいない初めての年の瀬を、家族四人で支え合って過ごしています。」
大人になった子供が、親の友人に出す「佐和子の長女 恵美、長男 大介」「母は毎年、いただいた年賀状を居間の棚に飾っておりました。それで、私たちからもお知らせしたいと思いました。」
はがきの中に、その人の名前を残したいとき自分の名前で出し、本文に続柄と名前を:「夫 健一が六月に永眠いたしました」それ以上は何もいりません。
家族葬にしたため、まだ知らせていない人へいつもどおりの名前で余白に手書きで:「家族だけで見送りましたので、このはがきが最初のお知らせになってしまいました。長いあいだ、年賀状をありがとうございました。」
年内に何も出せなかったとき(12月に亡くなった場合も)1月に、自分の名前で寒中見舞いを「年末はお知らせも出せず、失礼いたしました。いただいたお便りは、一枚一枚ありがたく拝見しました。」
夫婦宛ての年賀状が届いたとき寒中見舞いで、自分の名前で返す「ご丁寧な年賀状をありがとうございました。お知らせが遅くなりましたが、健一は昨年六月に亡くなりました。毎年、お便りを楽しみにしておりました。」
職場の人へいつもどおりの名前で「今年は私の分まで仕事を引き受けてくださり、ありがとうございました。本当に助かりました。」
木のテーブルに置かれた、水彩のツリーを描いた手作りのクリスマスカードと、その上に斜めに横たえたカリグラフィー用のペン
写真:Anna Tarazevich(Pexels)

亡くなった人の名前を、差出人に連ねてもいいのでしょうか。いちばんやさしいのは、今いる家族の名前だけにすることです。亡くなった人の名前が差出人に入ったはがきを受け取ると、相手は驚いたり、知らせを見落としたのかと戸惑ったりします。本文に「夫 健一が」と書けば、差出人に入れなくても、その人ははがきの中にいます。小さな子がクリスマスカードに、自分の字で「おじいちゃん」と書き足したがるなら、そうさせてあげてください。それは、その子が決めていいことです。

年越しやお正月の食卓で、何を話すか:献杯のひとことと思い出話

話す時間は、当日になってからではなく、前もって決めておきましょう。食事の途中で、誰かが頃合いを見計らわなくてすむように。先にひとこと済ませてから食べたい家族なら、料理が並ぶ前に。まず落ち着きたい食卓なら、食後のお茶の前に。あるいは、ろうそくやお線香と結びつけてもいいでしょう。火をともしたら、誰かが話す、というふうに。

話すのは、いちばん年長の人や、いちばん近しかった人でなくてかまいません。話したいと思っていて、最後まで言えそうな人がいい。言葉に詰まったときに続きを引き取る人も、もう一人決めておきます。12歳の孫が立派にこなすこともあります。亡くなった人をしのぶ食卓のひとことは、30秒もあれば十分です。グラスを手にするなら、法事の席にならって「乾杯」ではなく「献杯」とし、グラスは合わせず、声も控えめにすると落ち着きます。以下に文例を三つ挙げます。

30秒の献杯のひとこと。

食べる前に、ひとつだけ言わせてください。今年は、お父さんのいない初めてのお正月です。みんながしんみり黙っていたら、お父さんはきっといやがったと思います。いつもなら朝早くから台所に立って、まだ煮えてもいないのに「もうすぐできるぞ」とみんなに言っていたはずです。この食卓にお父さんがいないのは寂しいけれど、こうしてみんなで囲めるのはうれしい。だから、お父さんに。献杯。さあ、いただきましょう。

一人ひとつずつ思い出話をするための、1分の切り出し。

お茶にする前に、お母さんが好きそうなことをやってみたいの。お母さんは、食事の終わりに必ず何か話を聞かせてくれる人だったから。順番に、お母さんの短い思い出話をひとつずつしませんか。笑える話でいいし、ほんの小さなことでいい。お母さんが言ったこと、お母さんが焦がしたもの、節子おばさんの結婚式に、みんなを車に乗せて違う式場に着いてしまったときのこと。話したくない人は「パス」と言ってね。あとで話してもいいし、話さなくてもいい。まず私から。私のより面白い話、考えておいてね。私が10歳になった年、お母さんが……

食前にお祈りをする家庭、仏壇に手を合わせてから食べる家庭なら。いつもの言葉、いつもの作法のまま、最後に一文だけ添えてください。「そして、毎年この席にいた昭夫さんを思いながら、いただきます」。それから食べ始めます。祈りの言葉や作法そのものは、それぞれの家の宗教やならわしのままで。

誰かが泣いたら。何かをしてあげようとしなくて大丈夫です。待ちましょう。ティッシュを回して、「ゆっくりでいいよ」や「そのためにやってるんだから」と声をかけ、間は間のままにしておきます。急いで話題を変えたり、食卓じゅうの目を泣いている人に向けさせたりはしないでください。その人がうなずいたら続けるか、次の話を別の誰かに任せます。

子供が言えるひとこと。空欄のある一文を子供に渡して、前もって一度だけ一緒に練習しておきます。「おじいちゃんのいちばん好きなところは……」。空欄に何が入っても、それで十分です。

空いた席。年末年始の食卓で、その人の席を空けておく家庭があります。いつもの箸や湯のみを並べたり、法事の会食で用意する陰膳のように、その人の分の料理を並べたり、その人が座っていた場所にろうそくを置いたり。一方で、その隣に2時間座っているのがつらく、そっと席の並びを変える家族もいます。どちらでもかまいませんし、どちらも決まりではありません。その席の隣に座ることになる人に、聞いてみてください。

年末年始に、その人をしのぶ小さな方法

あとになって家族の心に残るしのび方は、たいてい飾りつけではありません。その人がしていたとおりに何かをして、その人の名前を声に出すことです。

  • その人の料理を作り、誰の味かを言う。おばあちゃんの筑前煮を、しょうゆのしみがついたあのレシピのメモどおりに作り、作るあいだはメモを台所に立てかけておきます。食卓に出すときには「これは、おばあちゃんの筑前煮」と言いましょう。
  • その人の音楽をかける。毎年の暮れに必ずかけていたレコードや、車にずっと入っていたCD。儀式にしなくてかまいません。料理をしているあいだ、流しておくだけで十分です。
  • ろうそくを一本ともす。前もって決めておいた時間に、ともしたい人がともします。一言添えてもいいし、何も言わなくてもかまいません。仏壇があるなら、お線香でもいいでしょう。
  • 思い出の箱を置く。玄関に箱と小さな紙の束を置いておきます。来た人はみな、思い出を一つ書いて入れます。一行で十分です。食事のあとで誰かがいくつか読み上げ、残りは別の日のために取っておきます。
  • その人の贈りものを続ける。毎年近所の子供たちにお菓子の詰め合わせを配っていた人、12月になると歳末たすけあいの募金をしていた人なら、今年もその人の名前で同じことをしましょう。
  • その人の道を歩く。元日の朝に歩いていた川沿いの道、町のイルミネーションを見に行くドライブ、あるいは家族の習わしなら、お墓参り。
窓辺のあたたかなろうそくの明かりに照らされた、グラスに入った熱い紅茶と星形のランタン、もみの小枝
写真:Gundula Vogel(Pexels)

このうち一つか二つで十分です。しのぶことでいっぱいの一日は、何もしない一日と同じくらい疲れることがあります。

家族を亡くして初めての年末年始を、子供とどう過ごすか

当日の前に、子供に予定を伝えておきましょう。何がいつもと同じで、何が違うのか。言葉は飾らずに。マリー・キュリーとイギリスの児童福祉団体バーナードスは、どちらも「いなくなった」「遠くへ行った」「眠っている」といった言い方ではなく、「死んだ」「亡くなった」という言葉を使うよう勧めています。同じ理由で、「お星さまになった」も、小さな子には避けたほうがいいかもしれません。6歳か7歳の子になら、たとえばこんなふうに。

おじいちゃんは3月に死んでしまったから、今年のクリスマスとお正月は、いつもとちょっとちがう感じがするかもしれないね。でも、おうちでみんなでごはんを食べるのは同じだし、サンタさんのプレゼントもちゃんとあるよ。その日、悲しくなる人もいるかもしれないけど、それでいいんだよ。おじいちゃんのお話は、いつでもしていいからね。それに、楽しい気持ちになってもいいんだよ。

その人をどうしのびたいか、子供一人ひとりに尋ねて、一つ選ばせてあげてください。一緒に作った飾りをツリーに下げる、歌を選ぶ、食卓に飾る絵を描く、おじいちゃんへのカードを書く。おじいちゃんに手紙を書きたいと言ったら、亡くなった人への手紙に、子供向けにも使えるヒントがあります。

ふだんどおりのことは、できるだけ残しましょう。バーナードスは、小さな子にはいつもと変わらない日課を勧めています。年末年始なら、毎年見る映画、枕元のプレゼント、いつも同じクリスマスの朝ごはんもそうです。次に何が来るかわかっている子供は、心配ごとが一つ少なくてすみます。

そして、子供の前で泣いてしまっても大丈夫です。マリー・キュリーの家族向けの助言にも、そう書かれています。どうして泣いているのかを伝え(「おじいちゃんに会えなくてさびしくて泣いてるの。少ししたら大丈夫になるからね」)、そのあと、いつものように過ごす姿を見せてあげてください。大人が悲しんで、それから「おしょうゆ取って」と言うのを見た子供は、悲しみとお正月は同じ食卓に並んでいられるのだと知ります。

いちばん悲しんでいる家族へ、手紙を書く

家族の中で、一人だけがほかの人より多くを背負っていることがよくあります。連れ合いを亡くした親、介護を担っていた兄、最期の日々に毎日そばにいた妹。年末年始には誰もがその人を気にかけながら、何と言えばいいのかわからず、その人のもとに届くはがきには「どうかご自愛ください」が、少しずつ違う言い回しで四十通。手紙なら、具体的なことが言えます。そして相手は、人の目のないところで、自分のペースで、一人で読めます。

こうした手紙は、次の四つの順で書けます。

  1. 亡くなった人の名前を書く。早いうちに、はっきりと。ほかの誰も口にしない言葉であることが多いからです。
  2. 読む人も一緒にいた思い出を一つ。亡くなった人だけの思い出ではなく、読む人もその場にいた思い出を。そうすれば、手紙は二人についての手紙になります。
  3. その人が背負ってきたもので、あなたが見ていたこと。引き受けた用事、かけた電話、誰にも感謝されなかった小さな勇気。それを一つずつ書きます。
  4. 新しい年に一緒にする予定を一つ。月と場所のわかることを。そうすれば、新しい年の暦に、ひとつ書きこめるものができます。

これは、母親を亡くして初めてのお正月に、大人になった娘が父親に宛てた手紙です。

お父さんへ

お母さんのいない、初めてのお正月だね。みんなでお雑煮の味つけの話ばかりして、誰もお母さんの名前を口にしないまま、この日が過ぎてしまうのはいやだった。だから書きます。久美子。お母さん。毎日お母さんに会いたいし、お父さんのほうがもっと会いたいのも知ってる。

私が12歳の大晦日、お昼前に台所のコンロが壊れたのを覚えてる? お母さんは台所の床に座りこんで、涙が出るほど笑って、お父さんは煮しめの大鍋を抱えて、サンダルのまま、みぞれの中を隣の田中さんの家まで運んだよね。煮しめが仕上がったのは夜の9時。お母さんはそれから毎年その話をして、お父さんは毎年、あの日のみぞれはお母さんの話よりもっとひどかったと言っていたね。

今年のお父さんを、ずっと見ていました。喪中はがきの宛名を、九十枚ぜんぶ手で書いたこと。私がしなくてすむように、お母さんの服を片づけてくれて、緑のコートだけは、私がほしがるとわかっていて取っておいてくれたこと。お父さんはそれを全部、黙ってやってくれた。誰かがありがとうと言ったのかどうか、私にはわからない。だから、ありがとう。

お正月だからって、元気でいなくていいからね。10分、庭に出たくなったら、行って。誰も何も言わないし、私なんてなおさら。

3月、日が長くなったら、二人で電車に乗って海まで行こう。お父さんとお母さんが毎年春に歩いていた、あの防波堤を歩きたいの。電車はもう調べてあるよ。いいよと言ってくれたら、切符を取るね。

大好きだよ、お父さん。

佳奈

多くの人が書かずにすませてしまうのが、三つ目の段落です。父親がしてきたことを娘がちゃんと見ていたと具体的に伝え、そのことに感謝しています。そして結びでは電車をもう調べてあるので、父親に求めているのは「いいよ」の一言だけです。

きょうだいのあいだなら、たいてい短いほうがいいでしょう。

拓也へ

お父さんのいない、初めてのお正月。サンタの正体を見ようと二人で夜ふかしして、階段の上で寝ちゃって、お父さんが二人をまたいでいった年のこと、ずっと思い出してる。今年、いちばん近くにいてくれたのは拓也だったね。私が行けなかった週末も、毎週車で通ってくれた。ちゃんと見てたよ。毎年のお正月の散歩、また二人で行こう。雨でもね。

恵理

紙でもメールでもかまいません。紙なら大晦日の夜に枕元に置いておけますし、メールなら地球の反対側に住む弟にも届きます。今年いちばん手紙を書きたい相手が自分の子供なら、クリスマスや年末に子供へ贈る手紙に、生後9か月から34歳までの子供に宛てた文例が6通あります。

喪中の正月の過ごし方と、世界の喪中の新年・クリスマス・イード

身内を亡くして初めて迎える年越しや祝いの日の過ごし方は、伝統によってさまざまです。ここに書くのは多くの家庭がしていることで、どの家庭もそうしなければならない決まりではありません。習わしは家ごとに違うので、迷ったら家族の年長の人に尋ねてみてください。

日本の喪中はがき。身内を亡くした年の暮れには、年賀状の代わりに喪中はがきを出し、新年のあいさつを控えることを前もって知らせる家庭が多くあります。一般的には二親等までの親族が亡くなった場合とされますが、どこまでを含めるかは家によって違います。出すのは11月から12月初めで、相手が年賀状を書き始める前、年賀状の引き受けが始まる12月15日ごろまでに届くのが目安とされます。2027年用の年賀はがきは、2026年11月2日から2027年1月15日まで販売されます。

寒中見舞い。12月に亡くなって喪中はがきが間に合わなかったときは、年が明けてから寒中見舞いを出す家庭が多くあります。出すのは松の内が明けてから(多くの地域では1月7日ごろ、一部の地域では1月15日ごろ)、立春(2月4日ごろ)まで。喪中と知らずに届いた年賀状へのお礼と、亡くなったことのお知らせも、この寒中見舞いで伝えられます。

喪中の正月の過ごし方。喪中の正月は、静かに過ごす家庭が多くあります。多くの家庭では、鏡餅や門松、しめ縄といった正月飾りを控え、おせち料理も控えるか、祝いの意味の強い品を除いて用意し、「あけましておめでとう」のあいさつもしません。初詣を控え、代わりにお墓参りをする家庭もあります。神社へのお参りを控えるのは忌中(仏式では四十九日、神式では五十日祭まで)とされることが多く、お寺へのお参りは喪中でもかまわないとする考え方もあります。四十九日の忌明けを過ぎると、少しずつふだんの暮らしに戻る家庭も多いようです。ただし習わしは家、地域、宗派によって違い、たとえば浄土真宗では忌服という考え方をとりません。迷ったら、家族の年長の人や菩提寺に尋ねてみてください。

喪中のクリスマス。クリスマスは神道や仏教の行事ではないため、喪中でも控えめに過ごせばかまわないと考える人が多いようです。小さな子供のいる家庭では、プレゼントはいつもどおりにして、集まりは家族だけにすることもあります。

中国の春節。亡くなって初めての春節には、門に赤い春聯を貼らない家庭が多く、別の色の紙を使う家庭もあります。色や、その習わしを何年続けるかは、地方によって違います。2027年の春節は2月6日です。

ベトナムのテト。喪中の家庭は、テトのあいだ年始のあいさつ回りをせずに家で過ごすことが多く、近所の人のほうが訪ねてきます。新年に、よその家の最初の訪問客になることも避ける家庭が多くあります。2027年のテトは2月6日です。

韓国のソルラル。2027年のソルラル(旧正月)は2月7日です。喪中の家庭が、茶礼(チャレ)と呼ばれる祭祀をどうするかは、家によって違います。

正教会の家庭。クリスマスは、ロシア、セルビア、ジョージアの教会では1月7日、多くのギリシャ正教会とルーマニア、ブルガリアの教会では12月25日です。ウクライナの公式のクリスマスは2023年から12月25日になりましたが、今も1月7日に祝う正教徒の家庭もあります。亡くなってから40日間を静かに過ごす家庭が多く、新年がその期間に入るときは、新年の食卓も静かにすることがあります。読者の質問に答える司祭の多くは、これを教会の決まりではなく家庭の習わしだとしています。所属する教会の司祭に相談してください。

イスラム教徒の家庭の、初めてのラマダンとイード。2027年のラマダンは2月8日ごろに始まり、イード・アル=フィトル(ラマダン明けの祭り)は住んでいる場所によって3月9日か10日ごろです。トルコ宗務庁(ディヤネト)の暦では3月9日です。イード・アル=アドハー(犠牲祭)は5月16日ごろです。イードの前日や、イードの礼拝のあとにお墓参りをするイスラム教徒の家庭も多くあります。決まった日があるわけではなく、イードがお墓参りにふさわしい時かどうかは、学者によっても家庭によっても考えが分かれます。

喪中の人へ、年末年始に送る言葉:寒中見舞いとメッセージの文例

今年、はがきを受け取る側ではなく、喪中の友人に言葉を送る側なら、気の利いたことを書く必要はありません。イギリスのホスピス団体ホスピスUKは、何も言わないより何か言うほうがいいとしています。同じくイギリスで緩和ケアと遺族支援を行う団体スー・ライダーは、メッセージの印刷されていない無地のカード、具体的な申し出、そして返事はいらないと伝えることを勧めています。亡くなった人の名前を書き、それだけで心に刺さることのある「おめでとう」は避け、日にちのついた申し出を一つしましょう。

時機を逃さずに。喪中はがきを受け取ったら、年賀状は出さないのが一般的です。年内に喪中見舞いを送る人もいますし、松の内が明けてから寒中見舞いを出してもかまいません。メッセージなら、数日あとではなく、大晦日か元日の朝に送るのがいちばんやさしいでしょう。

  • 「大変な時期かと思いますが、どうかご自愛ください」の代わりに「年の瀬になって、雅人さんのことをよく思い出しています。あなたのことも、ずっと気にかけています」。
  • 「あけましておめでとう!」の代わりに「寒い日が続きますね。あたたかくして過ごしてください」や「新しい年が、少しでもおだやかな年になりますように」。
  • 「何かあったら言ってね」の代わりに「27日に煮物を持っていくね。10分で帰っても、午後いっぱいいても、好きなほうでいいよ」。
  • 「どんなにおつらいか、想像もできません」の代わりに「この一週間、忘年会で雅人さんが毎年歌っていた、あの音程の外れた十八番のことばかり思い出しています」。

書き出しに使える文を六つ挙げます。[ ]の中に、あなたの知っていることを入れてください。

  • 連れ合いを亡くした友人へ:「[名前]さんのいない、初めての年末ですね。うちでも[名前]さんがいなくて寂しくなります。[日にち]に、いつもの[持っていくもの]を持っていきます。」
  • 職場の人へ:「ご家族で、おだやかな年末年始をお過ごしください。仕事のことは、落ち着くまで何も心配いりません。お返事も不要です。」
  • 遠くに住む友人へ:「今年はそばにいられなくてごめんね。[日にち]の[時刻]に電話するから、[名前]さんの話をしてもいいし、何も話さなくてもいいよ。」
  • ご近所の人へ:「今年は[名前]さんが[年末に門の前を掃いている]姿が見られなくて寂しいです。[日にち]に[料理]を玄関先に置いておきますね。出てこなくて大丈夫です。」
  • きょうだいへ:「お昼は隣の席を取っておいてね。しんどくなったら、二人で洗い物をしながら、台所で[名前]の話をしよう。いつでも、どんなことでも、私はここにいるから。」
  • 子供を亡くした母親へ:「この年末、[お子さんの名前]ちゃんのこと、それからあなたのことを思ってる。今も[その子の小さな思い出]をよく覚えてるよ。名前を聞きたくなったら、いつでも言ってね。何度でも呼ぶから。」

書かないほうがいいこと。「せめて」で始まる慰め(せめて苦しまずにすんだ、せめて長生きできた)や、「大往生だった」「もう楽になったよ」のように、悲しんでいる人にどう感じるべきかを告げる言葉は書かないでください。はがきで相手の気持ちを軽くする必要はありません。相手のことも、相手が恋しく思っている人のことも、誰も忘れていないと伝えられれば、それで十分です。

その夜に語られた思い出話を残す

一人ひとつずつの思い出話をしてみると、ほかの誰も聞いたことのなかった話が、きっと誰かの口から出てきます。それは残しておく価値があります。始める前に、誰か一人が、スマートフォンで録音してもいいかを声に出してみんなに尋ね、その問いかけごと録音しておきましょう。誰でもパスできますし、自分の話は外してほしいと頼むこともできます。人の声を録音することについての決まりは国や地域によって違うので、住んでいる場所のルールを確かめてください。録音のやり方は家族のために自分の声を残す方法で紹介しています。そして、亡くなった人の声が残っているのが古い留守番電話だけなら、誰かが回線を解約してしまう前に、その留守番電話を保存しておいてください。

集まった思い出話は、あとで一通の手紙にすることもできます。Goodbye Appの手紙に入るのは、文章と、録音ひとつです。いちばん大切な話を一つ選ぶか、その夜の録音を編集して一つのファイルにまとめ、ほかの話は手紙の本文に書き入れてください。それを来年の大晦日や元日、あるいは命日に合わせて、家族にメールで送れます。送る日と時刻は、最長30年先まで、あなたの住む地域の時刻で選べます。海外に住む家族がいるなら、向こうでは何時になるかを確かめておきましょう。手紙は送られるまで非公開です。アプリは無料で、15の言語に対応し、ウェブとAndroidで使えます。

手紙は一通につき一度だけ届くので、その次の年末年始には、その年のための一通を改めて書きましょう。なお、任意の無操作の安全装置は、自分でオンにしないかぎり働きません。オンにすると、3日から45日のあいだで決めた日数アカウントが使われなかったときに、予約した手紙がその日を待たずに届くことがあります。その夜の写真は、手紙ではなく、別の予約した投稿に入れてください。投稿は、あなたが選んだ人だけに公開することもできます。

いちばんいい話は、食卓でいちばん年長の人から出てくることが多いものです。けれど、人がそろった食卓は、もっと聞かせてとせがむ場所ではありません。親が元気なうちに聞いておきたい質問は、翌日、散歩をしながら、あるいは台所で、一対一で話すときのためのものです。

「つらい一日」では終わらないとき

年末年始に悲しみがこみあげるのは、何かがおかしくなったしるしではありません。12月のあいだずっと気持ちが沈む、涙もろくなる、腹が立つ、何も感じない。それはとても多くの人にとって、悲しみの一部です。イギリスの国民保健サービス(NHS)も、多くの人にとって悲しみは時間とともにやわらいでいくと述べています。

気分の落ちこみが2週間以上続くとき、あるいは試していることが助けにならないときは、かかりつけの医師や、住んでいる地域の遺族支援の窓口に相談してください。心配なのが食卓にいるほかの誰かなら、静かなときを見つけて、そのことをやさしく本人に伝え、同じように相談を勧めてください。誰かに危険が迫っているかもしれないと思ったら、その日が終わるのを待たずに、すぐに救急や警察に連絡してください。近くにどんな支援があるのかわからなければ、かかりつけの医師や、亡くなった人がお世話になった病院や緩和ケア病棟が、教えてくれることがよくあります。年が明けるのを待たずに、尋ねてかまいません。

よくある質問

喪中でも、クリスマスやお正月を祝っていいですか。クリスマスは、そうしたければ祝ってかまいません。毎年の習わしを全部続けることで支えられる家族もいれば、ほとんど何もしない家族、旅に出る家族もいます。どれもふつうのことなので、今年だけのこととして決めてください。お正月の祝いごとは控える家庭が多いものの、どこまで控えるかは家や宗派によって違います。

喪中はがきを出さなくてもいいですか。かまいません。初めての年に、きちんとはがきを出すことまで期待する人はいません。周りに知らせてくれる人を一人頼み、出したければ1月に寒中見舞いを出しましょう。

夫や妻を亡くしたとき、差出人はどう書けばいいですか。自分の名前だけで、たとえば「佐藤 良子」と。その人をはがきの中に残したいなら、差出人に名前を連ねるのではなく、本文に「夫 健一が六月に永眠いたしました」と続柄と名前を書きます。

母親を亡くした友人に、年末年始は何と声をかければいいですか。お母さんのことに触れて、日にちのついた申し出を一つ。「お母さんのおはぎのこと、今週ずっと思い出してた。あなたのことも。28日、散歩に行かない?」。そして、返事はいらないと伝えてください。

はがきに、その人の写真を入れてもいいですか。印刷するはがきなら、あなたがそれでいいと思えるなら、かまいません。その人が写っている、よい日の家族写真のほうが、遺影のような一人きりの写真より、やさしく受け取られることが多いものです。一人きりの写真だと、年末のにぎやかな郵便物の中で、受け取った人を不意打ちしてしまうことがあります。

過ごし方について、家族の意見が合わないときは。一人ひとりに、いちばん大事なことを一つずつ聞いて、それを軸に一日を組み立てます。今年だけの予定なら合意しやすくなりますし、一日を分けることもできます。午前はこう、夜はこう、というふうに。

2年目の年末年始のほうがつらいことはありますか。多くの人がそう言います。1年目は周りの気づかいに守られていたけれど、2年目は静かで、届くはがきも、気にかけてくれる人も減った、と話す人もいます。2年目も、1年目と同じくらいていねいに予定を立てましょう。

クリスマスより、大晦日やお正月のほうがつらいものですか。悲しみの中にある多くの人にとって、そうです。大晦日の夜は前もって決めておきましょう。誰と過ごすか、除夜の鐘まで起きているか、早めに切り上げる方法。10時に寝てしまうのも、新しい年を迎えるりっぱな方法です。

自殺を考えていてこのページを読んでいるのなら、どうか今日、誰かに話してください。findahelpline.comには、お住まいの国の無料で秘密が守られる相談窓口が載っています。くわしくは自殺と自傷に関する私たちのページをご覧ください。

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