
毎年12月になると、子供に渡すカードにひとこと書き添えます。そして、たいていの年は、ほとんど同じ言葉になります。「大好きだよ」と、ハートのマークと、自分の名前。ところがある年、ふと思うのです。今年のクリスマスや年末には、子供への手紙をちゃんと書きたい。カードには収まらないことを伝えたい、と。このページは、その手紙のためのものです。宛先は、まだ読み聞かせてあげる必要のある小さな子でも、つらい一年を終えようとしている10代の子でも、自分の家庭を持った大人の息子や娘でも、孫でもかまいません。
ここで紹介するのは、クリスマスの手紙にできる四つのこと、書く前に答えておきたい問い、そして6通の文例です。宛先は、6歳の子、15歳の子、30代の息子、遠く離れて暮らす娘、初めてのクリスマスを迎える赤ちゃん、そして孫息子。登場する家族は架空のものです。細部まで書き込んであるのは、あなたの手紙の細部がどれほど小さく、どれほど具体的でいいかを示すためです。最後に、カードを書く時間しかない年のための短い一言と、手紙を届ける方法にも触れます。
クリスマスや年末に、子供へ手紙を書く理由
カードに入るのは一行です。手紙には一年が入ります。カードでは「大好き」と伝えられます。手紙なら、3月に見かけたその子の姿や、その子がどんな人になっていこうとしているかについて気づいたこと、そして本人が幼すぎて覚えていられなかったクリスマスのことまで書けます。
12月は、それを後押ししてくれます。年の瀬が近づくと、たいていの人は、そのつもりがなくても一年を振り返るものです。手紙にすれば、その振り返りを、ひとりの人のために紙に残せます。大人になった子供は、もう何年もあなたから手紙をもらっていないかもしれません。
1920年から1943年まで、J・R・R・トールキンは、サンタクロース(ファーザー・クリスマス)になりきって子供たちに手紙を書き、絵を添えました。毎年12月になると、北極の切手が貼られた手紙が子供たちのもとに届き、やがて宛先は4人全員、ジョン、マイケル、クリストファー、プリシラになりました。最初の一通は長男のジョンに宛てたもので、手紙はそのまま家族の伝統になりました。手紙は1976年に『The Father Christmas Letters』(邦題『サンタ・クロースからの手紙』)として出版され、現在は『Letters from Father Christmas』(邦題『ファーザー・クリスマス:サンタ・クロースからの手紙』)として刊行されています。
トールキンはサンタクロースとして書き、ドジな北極グマや、イルベレスという名のエルフからの添え書きまでつけました。このページで扱うのは、もう一つの種類の手紙、あなた自身の名前で書く手紙です。それでも彼の手紙は、毎年届く手紙が何を生むかを教えてくれます。長く続けば、それは家族が自分たちを書き留めた記録になるのです。
家族がそろう大切な日は、クリスマスよりもお正月だという家庭も多いでしょう。それでも、ここに書いたことは何も変わりません。年末やお正月に子供へ書く手紙も同じ形でいいので、実際に家族が顔をそろえる日に向けて書いてください。結婚式や卒業のように一度きりの節目については、子供への節目の手紙をご覧ください。
クリスマスの子供への手紙に何を書くか
よいクリスマスの手紙は、おおよそ次の順番で、四つのことができます。
- 今年の、日付のある場面。できれば場所と月のわかる、本当にあった瞬間を。「今年は本当によくがんばったね」ではなく、通学かばんを肩にかけたままソファで眠っていた、あの晩のことを。
- 育っていくのを見てきた性質と、それを証明した瞬間。その性質に名前をつけ、それを見た一度の場面を書きます。場面があると、ほめ言葉が証拠に変わります。そして証拠は、照れて受け流すのが難しいものです。
- 幼すぎて覚えていないクリスマス。その子の記憶が始まる前のクリスマスを一つ、話してあげてください。何をしたか、誰が抱っこしていたか、何がうまくいかなかったか。これはクリスマスの手紙にしかできないことです。その日は毎年めぐってきて、今年のクリスマスを最初のクリスマスにつないでくれるからです。
- 来年の予定を一つ。その子と一緒にするつもりのことを、場所か月を添えて。6月の湖、いよいよ教えるつもりのあのレシピ。予定で締めくくると、手紙は前を向いて終わります。しかも、それは守れる約束です。
長さは600字から900字ほどを目安にしてください。手書きなら便箋に2、3枚、声に出して読めば2分から3分です。小さな子には短めに。長い手紙を読み終える前に、集中力が切れてしまいます。大人になった子には長めに。ひとりで、たぶん何度も読み返すからです。

手渡しできるなら、手書きにする価値があります。文字の傾きも、線を引いて消した言葉も、読む人の手元に残るものの一部です。手紙が遠くまで旅をしなければならないとき、手が震えるとき、決まった日に届けたいときは、打ち込むほうが向いています。どちらのほうが心がこもっている、ということはありません。打ち込む場合でも、下書きだけはペンで書いてみてください。ペンを持つと、書く速さが落ちます。この手紙では、ゆっくりがいいのです。
渡す前に、誰もいない部屋で、自分に向けて読み上げてみてください。去年のカードに書いてもおかしくない文は、削ります。あまりにまっすぐ本当のことなので、口にするのが少し照れくさい文は、残します。手紙を読むだけでなく、あなたの声でも聞いてほしいなら、家族のために自分の声を残す方法で、家でかんたんに録音するやり方を紹介しています。
書く前に答えておきたい問い
手紙に取りかかる前に、このうち三つか四つに、メモ用紙で答えてみてください。どの問いも、文例集にもチャットボットにもわからないことを尋ねています。その場にいたのは、あなただけだからです。薄い答えが15個あるより、よい答えが三つあるほうが、よい手紙になります。
今年のこと。何を見たか、それはいつだったか。
- 今年いちばん誇らしく思った瞬間。その子が、あなたに見られていると気づいていなかったときのこと。
- その子がしたことで驚いたこと。そして、なぜ驚いたのか。
- 今年その子が言ったことで、あなたがほかの人にも話して聞かせた一言。
- その子にとっていちばんつらかった一週間と、それを乗り切るためにその子がしたこと。
どんな人か。あなたが気づいていること。
- あなた自身の母親や父親にそっくりな、その子のしぐさ。
- 嫌なことがあって落ちこんでいる人に、その子がどう接するか。
- あなたが教えたわけでもないのに、その子が大切にしていること。
- 同じ年の頃のあなたより、もう上手にできること。
あなたの側の話。あなたがいなければ、その子には知りようのないこと。
- その子の年の頃、あなたが何をしていて、何を心配していたか。
- その子が生まれた日、あるいはあなたのもとに来た日のことで、ほかの誰も覚えていないこと。
- もう一度過ごせるなら過ごしたいクリスマスと、それを特別にしたもの。
- その子に対して間違えてしまったことと、今ならどうするか。
来年のこと。予定していることと、願っていること。
- その子に挑戦してほしいことを一つ。
- その子と一緒にするのを楽しみにしていることを一つ。
- 来年がどんな年になっても変わらない、あなたの気持ち。
文例サイトやチャットボットが出してくる一文は、どれほどやさしくても、子供には借り物のように読めてしまいます。子供はあなたの話し方を知っていますし、そこには、あなたからしか出てこないものが何もないからです。
文例:小さな子への手紙
小さな子への手紙は、今は読み聞かせるために、そしてあとまで取っておくために書きます。これは、父親から6歳の娘への手紙です。
ゆいへ
この手紙は、ゆいのことを書いた手紙です。いまはソファでパパが読んであげているけれど、いつか、ゆいがひとりで読む日がきます。
ゆいは6歳です。今年は歯が2本抜けて、今ではそのすきまから舌を出して、パパを笑わせます。川沿いの市民プールの小さいほうを、黄色いうきわなしで泳いで渡れるようになりました。プールのふちでずいぶん長いこと立っていて、それから思いきって泳ぎだしたね。向こう側に着いたとき「ぜんぜんこわくなかった」と言ったけれど、くちびるは紫色でした。
一年生になって初めて学校へ行った朝、ゆいは名前を言うより先に、ひざのばんそうこうを先生に見せていました。
ジャムの空きびんでイモムシを9日間飼って、「はかせ」と名前をつけたね。生け垣の葉っぱをあげて、毎晩その日のことを話して聞かせていました。それから、裏の塀のところで逃がしてあげました。はかせは家族に会えなくてさみしいんだって、と言って。
ゆいほど「ずるいのはだめ」にきびしい人を、パパはほかに知りません。おばあちゃんが最後のチョコレートケーキを切り分けたとき、ゆいは自分の定規で二つの大きさをはからせて、それから大きいほうをそうたにあげました。この前は自分が大きいほうをもらったから、と言って。
このクリスマスに、紫のブーツがもらえるといいね。おじいちゃんが、またあのコインの手品をしてくれるといいね。それから、一緒にレモンのクッキーを焼いて、ゆいが生地をつまみ食いして、パパが見ないふりをできるといいな。
うちまで上がる階段ぜんぶよりも、もっともっと大好きだよ。階段は53段あるんだよ。
パパより
追伸 ここから先は、いつか大人になったゆいへ。イモムシのことは、きっと覚えていないよね。だから、誰かに覚えていてほしかったんだ。
当日、声に出して読んであげて、途中で口をはさませてあげてください。ゆっくり読んで2、3分です。読み終えたら、その紙を大事な場所にしまいます。6歳の今は、楽しんで聞いたあと、すぐにブーツのほうへ行ってしまうでしょう。でも20歳になったとき、この手紙をとてもありがたく思うかもしれません。イモムシのことも、定規ではかったケーキのことも、残っている記録はこれだけなのですから。
文例:10代の子への手紙
つらい一年を過ごした10代の息子や娘へのクリスマスの手紙には、役目が一つしかありません。最後まで読んでもらうことです。これは、母親から15歳の娘への手紙です。
美咲へ
手紙なんて、とあきれた顔をするのはわかっています。でも、とりあえず読んで。あきれるのは、それからにしてね。
今年はいい年じゃなかったね。二人ともわかってる。2月に転校して、莉子ちゃんとは友だちじゃなくなった。どっちが先に離れたのか、お母さんは今も知らないし、聞いちゃいけないってことも学びました。帰ってくるなりまっすぐ2階に上がってしまう週もあって、聞こえるのは天井越しのベースの音だけ。今年は同じ四つの音を、本当に何度も聞きました。
でも、坂の上のパン屋さんの土曜日のアルバイトを、自分ひとりで見つけてきたのもあなたでした。決まってから、やっと話してくれたね。パンの匂いをさせて帰ってきて、売れ残りの入った袋を、何も言わずに台所のテーブルに置いていく。10月、お母さんがインフルエンザで寝込んだときは、卵がゆを作って、取っ手の壊れたお盆で2階まで運んでくれたね。しょっぱすぎました。ぜんぶ食べました。
4月、水泳をやめたいと言われたとき、お母さんは、疲れているだけ、そのうちおさまる、と言いました。疲れていたんじゃなかった。ずっと前から好きじゃなくなっていて、あなたはそれを伝えようとしていたのに、お母さんは聞かなかった。あなたがレースで泳ぐのを見るのが、好きだったから。ごめんなさい。やめたのは正しかったよ。
今年はお説教はなし。もう、あらゆる方向からたっぷり聞かされてきたものね。ただ、知っておいてほしいだけです。閉まったドア越しでも、お母さんにはあなたが見えているし、見えているあなたのことが好きです。
メリークリスマス。お盆は、もう直しておきました。
お母さんより
この手紙には、教訓がどこにもありません。つらい一年を過ごした10代の子は、まわりの大人という大人から、ああしろこうしろと言われてきています。そこへもう一つ指図を足した手紙は、指図として読まれます。心に届くのは、親が自分の間違いを認めるところです。水泳のことを、月まで添えて、言い訳なしに名指ししています。飾らない謝罪がひとつあれば、便箋一枚分のほめ言葉よりも多くが伝わります。最後の一行は、前に出てきたお盆の話を小さく回収していて、そのおかげで手紙は軽やかに終わります。
文例:クリスマスに書く、大人になった子供への手紙
大人になった子供への手紙は、いちばん書き出しにくいものです。手紙を書くきっかけだった昔の理由は、とうになくなっているからです。それでも、大人になった娘へのクリスマスの手紙にも、大人になった息子への手紙にも、同じ形が使えます。これは、60代の母親から34歳の息子への手紙です。
健太へ
食卓では言わないことがあります。お正月にみんながそろっても、お父さんが道路の混み具合の話を始めて、あなたが冗談を言って、いつものようにその瞬間は過ぎてしまうでしょう。だから、ここに書いておきます。紙の上なら、誰も話をそらせませんから。
あなたは34歳で、私は64歳。今週、計算してみて気づきました。私はもう人生の半分以上、あなたを知っていることになります。それなのにあなたは今でも、私がいちばん興味の尽きない人です。
あなたが何の仕事をしているのか、人に聞かれます。答えると、相手はうなずいて、話は次に移ります。でも本当に話したいのは、別のことです。お父さんの耳が遠くなりはじめたころから、あなたは夕食のとき、お父さんの左側に座るようになりました。聞き返させずに、あなたの声が届くように。誰に頼まれたわけでもありません。ほかの誰も気づきませんでした。私は気づきました。あなたはそういう人です。私はそのことが、どんな仕事よりも誇らしいのです。
悠斗くんに対してもそう。どんなに長い一日の終わりでも、しゃがんで目の高さを合わせて、あの子が言い終わるまで、どれだけかかっても待っている。それを見ていると、胸がいっぱいになります。
9歳のクリスマスのことを、今でも思い出します。あなたは何か月もおこづかいを貯めて、駅前の商店街で、小さなガラスの小鳥を買ってくれました。お正月が来る前に弟がその尻尾を折ってしまって、あなたは台所のテーブルで、とてもゆっくり、自分で接着剤でくっつけました。小鳥は今、流しの上の窓辺にいます。接着剤の線は、今でも見えます。
もう一つだけ。ここは二度読んでください。もっと電話しなくていいのです。もっと帰ってこなくていいのです。あなたが来てくれた週末は、その月でいちばんの週末になります。来られないときは、来られないほど毎日が充実しているのだと、うれしく思います。そのために、あなたを育てたのですから。
由紀さんによろしく。悠斗くんには、お正月に来たとき、そうっと持つならガラスの小鳥を持たせてあげると伝えてね。
メリークリスマス。そして、よいお年を。大事な大事な息子へ
母より
この手紙を支えているのは三つです。母親は、息子の仕事ではなく人柄をほめ、ほかの誰も見ていなかった証拠を添えています。息子が半分忘れていたクリスマスを、接着剤の線まで添えて返しています。そして、罪悪感をはっきりした言葉で取り除いています。電話をかける義務も、帰ってくる義務もない、と。大人になった子供は、親からの手紙を、最後に何か頼まれるのではと身構えながら読むことがあります。最後まで何も頼まれなければ、もう一度読み返すかもしれません。
文例:今年は遠くにいる子へ
息子や娘が家に帰ってこられない年もあります。海外での仕事、外国での勉強、ひと月分の家賃ほどもする航空券。これは、留学中の娘に父親が書いたクリスマスの手紙です。
彩へ
彩が家にいないクリスマスは、これが初めてです。お正月もね。だから、まずは家のニュースから。
猫は今も彩のベッドで寝ていて、まるでお父さんが彩を追い出したみたいな目でこっちを見ます。ビデオ通話もちゃんと使えるようになったので、もう画面いっぱいにお父さんの耳が映ることはありません。毎朝、こっちの天気より先にトロントの天気を確かめています。それでもお母さんは、今年もお雑煮を鍋いっぱいに作るそうです。彩の分は、私たちで食べます。
空港でのこと、謝らなくてはいけません。スーツケースの大きさをからかったのは、ほかに何も言えなかったからです。彩は、お父さんはふざけているんだと思いながら、ゲートをくぐっていきました。ふざけてなんかいなかった。知らない人たちの列の前で、泣かないようにこらえていたのです。
だから、今ちゃんと言わせてください。彩のことが、本当に誇らしい。部屋も自分で見つけて、銀行の手続きも自分で済ませて、電話の声は、自分の行き先をわかっている人の声に聞こえます。電話をもらうたびに、ご近所じゅうに自慢しています。
8歳のクリスマスイブを覚えていますか。線路にかかる歩道橋まで歩いて、町の明かりを見に行ったね。彩は川沿いの高いマンションの、明かりのついた窓を数えようとして、数えるたびに違う数になりました。手すりにミトンをのせて、白い息をふわふわ立ちのぼらせながら。毎年クリスマスイブになると、あそこにいる彩を思い出します。
これを読むとき、彩がどこにいても、そばに誰かがいて、何かあたたかいものを食べていますように。春休みには帰ってくるね。カレンダーに赤で三重に丸をつけたら、お母さんにやりすぎだと言われました。やりすぎなんかじゃない。まだ足りないくらいです。
愛をこめて。お父さんより
紙の手紙を郵送するなら、何週間も前に出してください。クリスマスが過ぎてから届く手紙は、ついでに思い出したように読めてしまいます。目指すのは翌日ではなく、前日です。借りている部屋でクリスマスイブに読む手紙は、その週はじめて「家」を感じさせてくれるものになるかもしれません。
赤ちゃんの初めてのクリスマスに書く、大人になったら開ける手紙
この手紙の差出人は、北極のサンタクロースではありません。あなた自身の名前で、最初の一年について書き、子供が大人になってから開いてもらう手紙です。これは、父親から生後9か月の娘への手紙です。
菜々へ
菜々は生後9か月で、これが初めてのクリスマスです。そして、そのほとんどを眠って過ごしました。
歯は4本、ぜんぶ下の歯です。最初にいやがった食べものは、にんじんでした。スプーンを押しのけて、こちらを見て、手のひらで口をぴたっとふさいだのです。今でもそうします。
この家で、菜々を菜々と呼ぶ人はいません。お兄ちゃんが、生まれる前から「まめ」と呼んでいて、それがそのまま定着しました。これを読んだら、お兄ちゃんを許すかどうか、自分で決めてください。
今日は、私たちが料理をしているあいだ、おじいちゃんが窓辺で菜々を抱っこしていました。菜々はおじいちゃんの頭から紙の王冠を、テーブルからスプーンを取って、どちらも放そうとしませんでした。王冠を握ったまま、眠ってしまいました。
お母さんは、菜々の手はお父さんに似ていると言います。お父さんは、菜々のしかめっ面はお母さん似だと思います。本を読んでいるときに、お母さんがするあの顔です。
これを読むころ、菜々は大人になっているでしょう。それでも、このクリスマスを渡しておきたかったのです。小さすぎて覚えていられなかったこのクリスマスを、その場にいた人が書き留めたものとして。
お父さんより
絶対に忘れないと思っている細部こそ、書き留めておいてください。最初の言葉、泣きやませてくれた歌。そういうものほど、真っ先に消えていきます。誕生日に開く手紙にしたいなら、18歳になったら開ける手紙をご覧ください。病院でつけてもらったネームバンドやファーストシューズと一緒に箱にしまっておくなら、タイムカプセルの手紙で、長もちする紙のタイムカプセルの作り方を説明しています。
クリスマスに、祖父母から孫へ
孫へのクリスマスの手紙は、親の手紙より短く、軽くてかまいません。一年まるごとを背負う必要はなく、一緒に過ごした部分だけで十分です。これは、祖母から11歳の孫息子への手紙です。
蓮くんへ
おじいちゃんは、11歳の男の子に手紙なんて大げさだと言います。おばあちゃんは、11歳は手紙にちょうどいい年なのよ、そんなに言うなら自分で書いたら、と言い返しました。おじいちゃんは老眼鏡を探しに行きました。頭の上にのっていたのにね。
今年、蓮くんはおばあちゃんより背が高くなりました。8月、おばあちゃんが見ていないうちに。今では、おばあちゃんの頭に腕をのせてきます。まるでおばあちゃんが門柱か何かみたいに。
3月には、柿の木を植えるのを手伝ってくれましたね。穴を深く掘りすぎて、次は浅すぎて、お茶とおせんべい2枚の休憩をはさんだら、ちょうどよくなりました。(おじいちゃんは、柿の木は自分が言い出したと言うでしょう。違います。)そして蓮くんは「おばあちゃん、柿がなったら最初の一個はぼくのね」と言いました。いいわよ、と答えました。これで、ちゃんと書面に残りました。
蓮くんのお母さんにも、11歳のときがありました。同じくらい頑固で、同じくらいやさしくて、やっぱりテーブルにひじをついていました。お母さんには、それでいいのよと一度も言ってあげませんでした。蓮くんには言います。
お正月には泊まりにいらっしゃい。お布団はもう用意してあるし、蓮くんしか飲まない、つぶつぶ入りのオレンジジュースも買ってあります。
メリークリスマス、のっぽさん。
おばあちゃんより
孫と同じ年の頃、その子の母親や父親がどんなふうだったかを話せるのは、祖父母だけです。そのことも、家族の歴史からまだ生まれていない孫のことまで、祖父母が紙に残したいほかのことも、孫に残すメッセージで扱っています。
クリスマスカードに添える、子供への短い一言
カードを書く時間しかない年もあります。ここに並べたクリスマスの短いメッセージ12個は、そのための出発点です。小さな子、10代の子、大人になった子に四つずつ。どれか一つを一行目に使って、あなただけが見たことを一つ書き足してください。[ ]のところに、あなたのことを入れます。
小さな子へ:
- 今年は[ ]ができるようになったね。見ていて、とてもうれしかったよ。
- 今年いちばんおもしろかった一言は「[ ]」。みんなに話しちゃった。
- どうして[ ]なの、と聞かれたけれど、まだわかりません。来年また聞いてね。
- もらった絵は、ぜんぶ冷蔵庫に貼ってあります。もう貼る場所がなくて、うれしいな。
10代の子へ:
- ふだんあまり言わないから、ここにペンで書いておきます。今のあなたが好きです。
- 大変な一年だったのに、あなたは前に進み続けました。いちばんそれを感じたのは、あなたが[ ]した日です。
- ぜんぶ答えが出ていなくていい。あなたの年の頃、私もそうでした。
- 来年がどんな年になっても、台所のテーブルには、いつもあなたの席があります。
大人になった息子や娘へ:
- あなたが[ ]したときの話を、今でも人にしています。今でも、いちばん好きな話です。
- あなたにずっと言われていた[ ]を、今年ついにやりました。あなたの言うとおりでした。
- あなたがくれた[ ]を、今も使っています。私のことをよくわかってくれて、ありがとう。
- 今年を思い出すと、[ ]が浮かびます。あなたは何が浮かびますか。
一行は、始まりにすぎません。どれかを読んで何かの場面が浮かんだら、その下に場面を書いてください。それでもう、手紙の半分まで来ています。そして手紙こそが、本当の贈り物です。
手紙の届け方
届け方は三つあり、いちばん飾らない方法が、たいていいちばんです。一つ目は、前の晩か当日に直接手渡して、本人がそうしたければ、まずはひとりで読ませてあげること。二つ目は、離れて暮らしているなら、宛名を手書きして郵送すること。その場合は早めに出してください。三つ目は、予約して送ること。遠くにいる子へ、何年も先のクリスマスへ、そして今年のことがまだ新しいうちに今夜書いてしまいたい手紙に向いています。

三つ目のためにあるのがGoodbye Appです。無料で、ウェブとAndroidで使えて、15の言語に対応しています。手紙は、あなたが指定した人にメールで届きます。送る日と時刻は、あなたが選びます。今年のクリスマスでも、最長で30年先のクリスマスでもかまいません。お子さんが別のタイムゾーンで暮らしているなら、時差も考えておいてください。送られるまで、誰にも見えません。任意の無操作の安全装置をオンにして、しきい値を3日から45日のあいだで選んでおくと、その期間アカウントに動きがなかった場合、手紙が予定より早く届くこともあります。
手紙に入るのは、あなたの言葉と、あなたの声の録音ひとつです。写真を送りたいときは、予約した投稿のほうに入れてください。投稿は、あなたが選んだ人だけに共有できます。まだメールアドレスを持たない小さな子には、もう一人の親宛てに送り、一行目にその子の名前を書いておきましょう。
この先のクリスマスを一緒に迎えられないかもしれないとき
これを読んでいる親御さんの中には、今年のクリスマスよりも、その先のクリスマスのことを考えている方もいるでしょう。重い病気で、その日をそばで迎えられないかもしれないからです。もしあなたがそうなら、このページでいちばん大切な一文をお伝えします。毎年の分を書く必要はありません。一通で十分です。子供のどこを見ているか、何を覚えているか、その子に何を願っているか。それを書いたクリスマスの手紙が一通あれば、その子は一生、何度でも読み返すことができます。
もっと書く力があるなら、あなたにとって大切な順に書いて、必要なときはいつでも手を止めてください。何通書くかは会えないかもしれない年の誕生日の手紙のガイドで、体力が限られているときに何から書くかは余命宣告を受けたあとに書く手紙で、順を追って考えています。どちらも、すべてをやり遂げることを求めてはいません。
よくある質問
クリスマスに子供へ書く手紙は、どのくらいの長さがいいですか。600字から900字ほど、手書きなら便箋に2、3枚、声に出して読めば2分から3分です。小さな子には短めに、大人になった子には長めに。
手書きにするべきですか、メールで送るべきですか。手渡しできるなら手書きで。紙そのものが、贈り物の一部になるからです。遠くにいる場合や、決まった日に届けたい場合はメールで。両方にしてもかまいません。手書きの便箋は次に会うときのために取っておき、同じ言葉をメールで送るのです。
疎遠になっている大人の子供には、何を書けばいいですか。何も求めない、短いものを。本当の思い出を一つ、今のその子について尊敬していることを一つ、そして、条件なしで扉はいつでも開いている、という飾らない一行。誰が何を言ったかという経緯は書かないでください。何も返さなくていい手紙なら、身構えずに読めます。連絡しないでほしいと言われているなら、その気持ちを尊重してください。手紙は、それをかいくぐる手段ではありません。
子供全員に一通ですか、それともひとりに一通ずつですか。短くても、ひとりに一通ずつ。きょうだいは比べるものですし、自分の名前だけが冒頭に書かれた手紙は、ひとりひとりに、あなたのことをちゃんと見ていたと伝えます。誰も行数を数えずにすむよう、長さはそろえておきましょう。
毎年のクリスマスの手紙を、今から始めるのは遅すぎますか。いいえ。子供が何歳でも、今年から始めて、一行目にそう書いてください。「これが最初の一通です。これから毎年クリスマスに一通ずつ書きます」。子供が40歳のときに始めた習慣も、50歳になる頃には立派な伝統です。
何年も先のクリスマスに届くよう、手紙を予約できますか。はい、紙ではなくメールで送るのであれば。何年も使い続けそうなアドレスを選び、何時何分に届くとは約束しないでください。メールには、メールの都合があります。
手紙に写真を入れられますか。紙の手紙なら、はい。プリントした写真を封筒に入れてください。メールの場合は、手紙はあなたの言葉と声だけにして、写真は別に送ります。「手紙の届け方」で説明したとおりです。
Every person has a legacy®
開始




