
今この瞬間にも、誰の目にも触れることのない美しい手紙が、どこかに眠っています。コートのポケットの中に、鍵のかかった引き出しの奥に、あるいは二度の引っ越しを経たガレージの、「雑品」と書かれた箱の中に。手紙を書いた人は、勇気の要る仕事をやり遂げました。あとは封筒に任されたままだったのです。
こうしたことが起こるのは、手紙を「書くこと」と「届けること」がまったく別の問題だからです。ほとんどのガイドは前者だけを助けてくれて、後者については、まるで手紙が鮭のように自分で行き先を知っているかのように、あいまいに触れるだけで終わります。このガイドが扱うのは、その後者の問題です。大切な人に手紙を残す5つの現実的な方法、それぞれで実際に起こりがちな失敗、そして選び方について解説します。まだ手紙を書いていないなら、まずは お別れの手紙の書き方 のガイドから始めて、また戻ってきてください。手紙が誰かに読まれるかどうかを決めるのは、まさにこの後半部分です。
手紙が読まれない理由
残された手紙は、順番に3つの試練を乗り越えなければなりません。まず見つけられること。コートのポケットの中でも、2009年分の確定申告書の裏でもなく、暗証番号があなたと一緒に失われた金庫の中でもいけません。次に正しい時期に見つけられること。2年遅れてもいけませんし、パスポートを探していたティーンエイジャーに2年早く見つけられてもいけません。そして正しい相手に届くこと。息子宛ての手紙は息子に届くべきであり、キッチンテーブルで一度読み上げられただけで、そのまま兄弟姉妹のファイルの中に永遠にしまい込まれてはいけないのです。
紙はこうした試練に、静かに落第します。家は売られ、引き出しの中身は箱に移され、箱には「雑品」というラベルが貼られます。誰も手紙をなくそうと決めたわけではありません。ただ、それを届けるのが誰の仕事でもなかっただけなのです。
手紙を残す5つの方法
実際に使われている方法は、突き詰めると次の5つのどれかに行き着きます。
- 信頼できる人が手紙を預かり、渡してくれる。
- 金庫や貸金庫、引き出しが、誰かが中を見るまで手紙を保管してくれる。
- 弁護士や遺言執行者が、あなたの書類と一緒に保管してくれる。
- 遺言書が手紙そのものを含むか、その在りかを記しておいてくれる。
- 予約配信が、あなたの選んだ日に自動で送り届けてくれる。
どれも間違いではありません。それぞれ違う形で失敗するだけであり、正解は、あなたがどの失敗を最も避けたいかによって変わります。
信頼できる人に託す
もっとも古典的で、もっとも人間らしい方法です。兄弟姉妹や親友、配偶者に、指示とともに封筒を渡しておくのです。費用はかかりませんし、手続きではなく一人の人間が、あなたの娘の手にその手紙を渡してくれるのだと分かっていることには、確かな安心感があります。
その弱点もまた、人間らしいものです。信頼していた人が引っ越すこともあれば、家族と疎遠になることも、封筒がどの箱に入っているか忘れてしまうこともあります。さらに率直に言えば、配達予定日より先に亡くなってしまうことさえあります。30年後の孫の結婚式のための手紙を託すというのは、誰にとっても長すぎる役目です。また、封をされた封筒は好奇心を試すものでもあります。あなたは記憶力だけでなく、相手の分別も信じて託していることになるのです。この方法を使うなら、自分より若い人を選び、その手紙の存在をもう一人にも伝え、そして「結婚式の朝に開ける」はずだったものが、いつの間にか「ガレージの片付け中に見つかる」ものに変わってしまうこともあると、心得ておいてください。
金庫・貸金庫・弁護士
手紙に鍵をかけることは、早すぎる発見という問題を完全に解決する代わりに、新しい問題を生み出します。鍵は、きちんと機能してしまうのです。自宅の金庫は、その存在を説明するメモがある場合にしか見つけてもらえませんし、暗証番号もまた、家族が探すような場所に残しておく必要があります。銀行の貸金庫は、タイミングの面で、多くの人が思っている以上に厄介です。多くの地域では、名義人が亡くなると遺言執行者が選任されるまで貸金庫が封鎖されてしまい、あなたの最も温かい言葉が、何か月もの間、宙ぶらりんの法的手続きの中に置き去りにされ、本来届けたかった日をとうに過ぎてから届くことになりかねません。

弁護士に手紙を預けるのは、紙の手紙としてはもっとも確実な方法です。法律事務所は書類の保管を得意としていますし、何より見つけてもらいやすいという強みがあります。その代わりに、費用、形式的な手続き、そしてタイミングという代償を払うことになります。あなたの手紙は遺産の一部として扱われ、遺産整理のスケジュールに沿って、弁護士が一度だけ届けてくれます。どんな法律事務所も、10年間、毎年の誕生日に息子さんへ手紙を送り続けてはくれません。
遺言書と一緒に残す手紙:実際に起こること
手紙を遺言書に挟んでおくのは、自然なことのように感じられます。遺言書こそ、誰もが必ず探す唯一の書類だからです。ただし、知っておくべきことが2つあります。まず、遺言書は法的な手続きの一部となり、多くの地域では検認された遺言書が公開記録となるため、中に書かれたものは、本来書いた相手ではない人の目にも触れうるということです。次に、遺言書は法律が定める日程で開封されるということです。最初のつらい夜のために書いた言葉が、何週間も後に、署名と署名の合間の会議室で読まれることになるかもしれません。
紙の手紙にこだわりたいのであれば、より良いやり方があります。手紙自体は別に保管し、その在りかだけを遺言書に記しておくのです。そうすれば遺言書は、封筒そのものではなく、地図の役割を果たしてくれます。
予約配信:正確な瞬間に届き、それまでは非公開
もっとも新しいこの方法は、もっとも古くからある2つの問題、「見つけてもらえるか」と「タイミング」を同時に解決します。あなたは手紙を書き、受け取る人を指定し、それが公開される瞬間を選びます。最大30年先までの特定の日でも、あなたが亡くなった後でも構いません。その瞬間が来るまで、手紙は非公開のままです。引き出しにしまってあるという意味の「非公開」ではなく、本当の意味で非公開です。誰も早く開けることはできませんし、引っ越しで紛失することもありません。そもそも動かすべきものが何もないからです。その瞬間が訪れると、受け取る人が世界のどこに暮らしていても、メールで知らせが届きます。
これこそGoodbye Appが実現するために作られたものであり、しかも無料で使えます。さらに、紙には運べないものも一緒に届けられます。写真を添付したり、自分の声で手紙を録音したりできるので、届くのは言葉だけでなく、その声の響きそのものでもあるのです。まだ公開されていない手紙は、人生が変わるたびに書き直すこともできます。これが、コートのポケット問題の解決策です。一度封をして忘れられる手紙ではなく、何年もかけてあなたと一緒に育っていく手紙になるのです。
正直な限界もお伝えします。受け取る人がメールアドレスを持っている必要がありますし、法的な指示を記す場としては適していません。それは遺言書が担うべき役割です(他のすべてをどこに残すべきかについては、 デジタル遺産ガイド をご覧ください)。
誰に最初に書くか
多くの人は、全員に一度に書こうとして、手が止まってしまいます。順番を決めると楽になります。
- いちばんつらい一日を過ごすことになる人。多くの場合、それはパートナーです。この手紙は、最初の一週間のためのものです。
- 子どもには、一人ひとり別々に。一人の子どもだけに宛てた手紙は、全員宛ての手紙では書けないことを伝えられます。まだ幼いなら、成長に合わせて届く 節目の手紙 を検討してみてください。
- 家族同然だった友人。友人は、遺産分けの場では忘れられがちな存在です。手紙は、その人が「余分な存在」ではなかったことを伝えてくれます。
- 言葉を伝えるべき相手。謝罪、感謝、説明。書くのはいちばん難しく、届けるのはいちばん大切なことです。
そのまま借りられる書き出しの例です。パートナーへ。
これを読んでいるなら、まずお茶を淹れてください。それから、ゆっくり読んでください。私たちが急ぐことなんて、一度もありませんでした。昔から、ずっと。
家族同然だった友人へ。
あなたは、ただの友人だったことなど一度もありません。書類が見落としてしまった、もう一人の兄弟でした。この手紙は、その記録を私が訂正するためのものです。
言葉を伝えるべき相手へ。
この20年間で、この謝罪を11回書き始めては、やめました。紙は辛抱強く待っていてくれます。そして、あなたもいつも、そうでした。
手紙に合う方法
すべてに同じ方法を選ぶ必要はありません。多くの家庭にとって現実的な使い分けは、こうなります。指示書や書類は弁護士に預けるか、家族が知っているファイルに入れておく。紙の手紙は一通だけ、ページを手に取れる安心感のために、見つけやすい場所に置いておく。そして個人的な手紙や、日付を指定した手紙、声の録音は、タイミングと非公開性が保証される予約配信に任せる。念には念を入れることは、考えすぎではありません。それこそが、正しい計画なのです。
声を添える:音声で残す手紙
大切な人を亡くした人に、何を残しておいてほしかったかと尋ねると、驚くほど多くの人が「留守番電話の声」と答えます。手書きの文字は貴重なものですが、声はその人の存在そのものです。手紙を読み上げるだけでも、ただ話すだけでも、録音には10分ほどしかかかりませんが、それは紙だけでは足りない日に、何度も再生されるものになります。Goodbye Appでは、手紙の中に直接音声を録音できるので、言葉と声が一緒に届きます。
今週のチェックリスト
- 月曜日:あなたから言葉を受け取るべき人をリストアップします。いちばんつらい思いをする人から順に。
- 火曜日:最初の一通を書きます。正直な3つの文は、書き出せない完璧な1ページに勝ります。
- 水曜日:自分の声で録音します。リハーサルなしで、一度通して読むだけで十分です。ラジオのようにではなく、あなたらしく聞こえることが大切です。
- 木曜日:受け取る人を選び、公開のタイミングを設定します。日付を指定するか、あなたが亡くなった後か。それまでは封をしたままです。
- 金曜日:手紙が存在することを、誰か一人に伝えます。どこにあるかも、中身も伝える必要はありません。存在することだけを伝えてください。
コートのポケットが秘密を守り続けるには、11年はあまりに長い時間です。あなたの言葉にふさわしいのは、隠し場所ではなく、届け方の計画です。 無料で最初の手紙を書き始める、そしてそれが届く正確な瞬間を選んでください。
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