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終活 · 読了10分

葬儀の希望テンプレート:何をどう書き残せば家族が迷わないか

そのまま写せる無料の葬儀の希望テンプレートと記入例、そして家族は本当にそのとおりにしてくれるのかという問いへの正直な答え。

執筆:Goodbye Appチーム · 2026年9月1日

白いユリを生けた花瓶のそばで、白い机の上のメモ帳に書いている手
写真:Artem Podrez(Pexels)

葬儀社の打ち合わせ室は、いつも静かです。ティッシュの箱、棺のカタログ、そして質問をやわらかく尋ねる術を身につけた担当者。ある火曜日の朝、三人のきょうだいがそこに座っていて、最初の質問で手が止まります。お母様は、どうしてほしいとおっしゃっていましたか。一人は、料理をしながら口ずさんでいた歌のことを思い出します。一人は、火葬と言っていた気がする、いや、あれは叔母だったかと考えます。三人目が確かに知っているのは、母がユリを嫌っていたということだけです。遺言書は貸金庫の中で、開けられるのは木曜日。葬儀は土曜日です。

葬儀の希望は、その場面を終わらせるためにあります。あなた自身が書いた短い文書で、誰かが推測しなければならなくなる前に、葬儀社が尋ねてくる質問に答えておくものです。難しいのは書くことではありません。難しいのは、そしてほとんどのガイドが飛ばすのは、それを火曜日のその部屋に届けることです。

葬儀の希望とは何で、何ではないか

葬儀の希望とは、あなたが亡くなったあとに起きることについての、あなたの意向です。埋葬か火葬か、どんな式にするか、音楽、誰が話すか、誰が取りまとめるか、費用はどこから出すか。それを、あの部屋に座ることになる人たちに向けて、平易な言葉で書きます。こうした文書は、終活ノート、あるいは単に「私の葬儀の希望」と呼ばれます。エンディングノート全体の書き方は、別の記事でくわしく扱っています。名前は問題ではありません。大事なのは、はっきりしていることです。

これは遺言書ではありません。遺言書は財産を扱い、法律上の手続きを通ります。葬儀の希望は、その隣に置かれる個人的な覚え書きです。医療についての事前指示でもありません。アメリカの非営利団体Aging with Dignityが作ったFive Wishesという書式は、あなたがまだ生きているあいだに下される判断を扱います。葬儀の希望は、そこが終わるところから始まります。

書き残しておく理由

家族は、悪意なくこのことで揉めるからです。あるきょうだいは、父はシンプルなものを望んでいたと知っています。別のきょうだいは、しっかり送ってほしいと言うのを聞いています。二人とも、違う年代の本当の会話を覚えているのです。書いたものがなければ、いちばん声の大きい記憶が勝ち、いちばん静かな人が、何年も迷いを抱えることになります。

この推測は、数字にも表れています。イギリスのSunLifeによる『Cost of Dying Report 2026』は、葬儀を取りまとめた人のうち、亡くなった本人から直接希望を聞いていた人は47パーセントにとどまり、希望の一部を知っていた人は、まったく知らなかった人より約335ポンド支出が少なかったと報告しています。分からないと、念のためにと多めに買ってしまうのです。同じ人たちに自分の葬儀について尋ねると、備えは同じように乏しく、希望を書き残していた人は12パーセント、まったく誰にも伝えていない人が35パーセントでした。

アメリカでは、Pew Research Centerが成人8,750人を対象に行い2025年11月に公表した調査で、遺言書を作成しているのは32パーセント、自分の葬儀について何らかの手配をしているのは20パーセントにすぎないことが分かりました。そもそも遺言書は、希望を書く場所として向いていません。葬儀が終わってから開かれることが多く、家族がいちばん頼りにする文書が、一週間遅れて届いてしまうのです。

葬儀の希望に法的な効力はあるのか

多くの国と地域で、答えは「ありません」です。書かれた葬儀の希望は要望として扱われ、最終的に決めるのは葬儀を執り行う立場の人、多くの場合は遺言執行者や近親者です。それでも実際には、たいていの家族は書かれた希望に従います。はっきりした覚え書きが、誰もしたくない言い争いを収めてくれるからです。

日本でも、こうした希望そのものに法的な効力はありません。財産の行き先を確実に決めておきたいのであれば、それは遺言書の役目です。扱いは国や州によってまったく違い、フランスははっきりした例外の一つです。1887年11月15日の葬儀の自由に関する法律により、遺言のなかで、あるいは遺言と同じ方式でなされた意思表示のなかに示された希望は、財産についての遺言の定めと同じ効力を持ちます。家族の意見が割れそうなら、お住まいの地域の専門家に相談してください。

ですから、法律上の備えよりも、実務上の備えのほうが効きます。平易に書き、誰が取りまとめるかを名指しし、当日より前に、正しい人たちがその覚え書きを持っている状態にしてください。

書いておくこと:チェックリスト

そろっている一式は、葬儀社が尋ねてくる質問に、家族が向き合う順番で答えていきます。

  • 埋葬か、火葬か、それ以外か。そして場所も。樹木葬や自然に還る形については、自然葬という選択肢のガイドをご覧ください。
  • 式と、その雰囲気。宗教的にするかどうか、葬儀にするか、後日のお別れの会にするか、あるいは何もしないか。
  • 音楽と、読み上げる言葉。何を流すか、何を読むか、そして絶対に流してほしくないもの。
  • 誰が話すか。誰にお別れの言葉を述べてもらうか、そして誰をその役から外してあげるか。自分で書いておく人もいます。自分のお別れの言葉を書くをご覧ください。
  • 誰が取りまとめるか。中心になる人を一人、手伝う人を一人。互いに、誰か別の人がやっていると思い込まないように。
  • 供花か、寄付か。寄付にするなら、どこへ。
  • 服装と持ち物。何を着せてほしいか、何を一緒に持たせるか、何を先に外すか。
  • お墓と遺骨。どこへ納めるか、墓碑には何と刻むか。
  • 費用。事前契約や互助会、保険があるか、その書類はどこにあるか。
  • 知らせる相手。必ず知らせてほしい人と、その連絡先を持っている人。
  • してほしくないこと。お顔を見せる形の対面、ユリの花。

無料のテンプレート

下の文を文書に写して、かっこの中を埋めてください。特に希望のないところは飛ばして構いません。空欄は、家族に選んでよいと伝えることになります。一人称で書いてください。これは、あなたが話している言葉です。

埋葬か、火葬か、それ以外か。

私は〔埋葬/火葬/その他〕にしてほしいと思っています。場所として考えているのは〔 〕です。

式について。

〔葬儀/後日のお別れの会/少人数の集まり/式はしない〕を希望します。雰囲気は〔 〕であってほしいです。宗教的な要素は〔入れて/入れないで〕ください。

誰が取りまとめるか。

〔名前〕に中心になってもらい、〔名前〕に手伝ってもらってください。

誰が話すか。誰かを指名するのは優しさですが、誰かをその役から外してあげるのは、もっと大きな優しさです。

〔名前〕に話してもらいたいです。〔名前〕には、本人から申し出がないかぎり頼まないでください。

音楽と、読み上げる言葉。3曲もあれば十分です。

流してほしい曲:〔曲名〕、〔曲名〕、〔曲名〕。流さないでほしい曲:〔 〕。読み上げてほしい言葉:〔 〕。

供花か、寄付か。

〔供花/供花のかわりに寄付〕を希望します。寄付先は〔 〕です。

服装と持ち物。

〔 〕を着せてください。〔品物〕は一緒に置いてほしいです。〔品物〕は〔名前〕に渡してください。

お墓と遺骨。

遺骨は〔〔場所〕に散骨/〔名前〕が手元に置く/〔場所〕に納骨〕してください。墓碑に刻むなら〔 〕としてください。

費用のこと。何があって、どこにあるか。

事前契約や互助会は〔あります/ありません〕。〔契約先〕です。書類は〔 〕に置いてあります。〔金額〕以上は使わないでください。

必ず知らせてほしい人。

この人たちには必ず知らせてください:〔名前〕。〔名前〕が、〔 〕から私の友人たちに連絡できます。

してほしくないこと。家族がいちばん助かる一行です。

〔 〕はしないでください。

その日への一言。

これを読んでいるあなたに、知っておいてほしいことがあります。〔 〕。

記入例

70代の元教員が書いた場合、記入した一式はこんなふうになります。

私は火葬にしてください。高いものは要りません。簡素な棺で十分です。お別れの会は、みんなが実際に来られるように、数週間あとにしてください。斎場ではなく、公民館で。そのあとはお茶を出して、誰かが必ず、青いレシピカードのレモンケーキを焼くこと。焼かなければ、台所に化けて出ます。
りょうこ、あなたが中心になってください。しっかり者なのは、自分でも分かっているでしょう。だいすけが手伝う、つまり車を出して、音楽に口を出さないということです。ルイ・アームストロングと、フォーレのレクイエムの「イン・パラディスム」をかけてください。母の葬儀でかけたあの曲はやめてください。私はあれを、最後まで聴けたことがありません。
りょうこが、台所の引き出しに入っているメアリー・オリヴァーの詩を読んでください。緑のカーディガンを着せて、指輪は先に外してください。あれは、バスの話と一緒にえりへ。遺骨は、お父さんのいるダムの上の丘へ。ユリは要りません。事前契約とその書類一式は、たんすの二段目です。これ以上は一円も使わないこと。そのお金は、旅行に使ってください。

テンプレートが手紙のように読めるべき理由

法律書式を売るサイトの多くは、チェックボックスでできた葬儀の希望の書式を提供していて、チェックボックスは葬儀社にとっては十分です。ですが、それを読まなければならない人にとっては十分ではありません。その人は人生でいちばんつらい週に、一度だけそれを読みます。火葬にチェックが入った欄は、何をすべきかは伝えますが、あなたが迷いなくそう決めたことは伝えません。文章なら、その両方が伝わります。「私は火葬にしてほしいですし、それでいいと思っています」という一文は、書式には運べないものを運びます。許しです。

ですから、テンプレートは背骨として使い、その上に書いてください。なぜ斎場ではなく公民館なのかを説明してください。それが、指示に従うだけの家族と、寄り添われていると感じる家族との違いになります。

白いテーブルの上で、ろうそくと淡い色のラナンキュラス2輪のそばに置かれた、白い無地のカード
写真:Cup of Couple(Pexels)

音楽、読み上げる言葉、そして忘れられがちなこと

音楽は、家族がいちばん外すところです。好みは個人的なもので、悲しみのなかでは、どの曲も何かのメッセージに聞こえるからです。3曲挙げ、1曲だけ禁じ、プレイリストがどこにあるかを書いてください。読み上げる言葉も指定してください。その詩そのもの、その一節そのものを。「何かそれらしいものを」という曖昧な指定は、どんな一節が収めたよりも多くの、台所での言い争いを生んできました。

それから、間に合ううちに誰も書き残さないことがあります。遺影です。決めておかないと、家族は証明写真を選ぶことになります。そして、絶対に抜けてはいけない人。通院に車を出してくれた近所の方、毎年正月に電話していたことを子どもたちが知らない、昔の相手。名前と連絡先がなければ、その人たちが知るのは何週間もあとになります。

そして、してほしくないこと。「お顔を見せる対面はしないでください」の一行は、すでに決めることを抱えすぎている人から、判断を一つ取り除きます。ここは、あなたの家族が実際にするような冗談を書くのにも、ちょうどいい場所です。「湿っぽい曲はなしで。うちはそういう家じゃないので」。

費用のこと:事前契約、保険、書類の場所

葬儀の費用は、たいてい三つのうちどれかで支払われます。事前契約や互助会の積み立て、生命保険や葬儀保険、あるいは残された財産と、そのあとの家族の負担です。希望を書くときの仕事は、もっと単純です。何があるか、それが何をまかない、何をまかなわないかを書いておくこと。足りない部分に、その場に立ってから気づくことがないようにです。

そして書類がどこにあるかを、そのまま動けるくらい正確に書いてください。たんすの二段目、「葬儀」と書いた封筒の中、というように。誰も見つけられない契約は、二重に支払われることがあります。家族が必要とする、より広い一式についてはもしものときのファイルのチェックリストで扱っています。あなたの希望はそこに入りますし、それに加えて、もう一か所にも置いておくことになります。

そして、契約もお金もないのであれば、そう書いてください。「簡素にしてください。私のために借金はしないこと」は、人が書ける言葉のなかでも、もっとも愛情のある一文です。

希望と、いくつかの言葉を、自分の声で

書かれた一覧は、あなたが何を望んだかを伝えます。録音は、あなたが言ったであろうそのままの言い方で伝えます。間の取り方も、こらえきれなかった冗談も一緒に。それは、書式には運べないものを一つ運びます。あなたが怖がっていなかったときの、あの声の調子です。

台本は要りません。自分の希望を声に出して読み、そのあと1分ほど、なぜそう決めたのかを話し続けてください。何をどのくらい話せばよいかは、葬儀で流すメッセージの録音のガイドで扱っています。さらに進んで、自分が出席できるうちに集まりを開く人もいます。その方法は生前葬のガイドで説明しています。

希望を、間に合ううちに正しい人へ届ける

ここまでのすべては、それでもいつもの形で失敗します。紙の希望は引き出しに眠り、遺言書は一週間遅れて読まれ、そして書類の場所を知っていた人が、亡くなった本人です。難しいのは文書ではありません。届けることです。

これこそGoodbye Appが作られた理由です。ここで書く手紙には、葬儀の手配についての項目と、終末期の希望についての項目があり、その二つで上の質問をひととおり尋ねます。埋葬か火葬か、式のかたち、誰が取りまとめるか、事前契約、臓器提供、遺骨をどうするか。録音の機能もあります。問いかけは一つです。自分の葬儀で、何を語りますか。受け取る人は自分で選べます。実際にあの部屋にいることになる人たちです。手紙は、あなたが設定した日付か、あなたがこの世を去った後に、その人たちへメールで届きます。それまでは非公開で、無料で、気が変わればいつでも書き直せます。これは遺言書ではありません。そこが要点です。木曜日を待つ遺言書のかたわらで、火曜日に家族の手元へ届く覚え書きなのです。

内容を最新に保つ

葬儀の希望は、ごく普通のことで古くなります。取りまとめを頼んだ友人が海外へ移ります。結婚し、離婚し、隣に眠るつもりだった人を先に見送ります。40歳で書いたきり触れていない葬儀の希望は、2009年に離れた土地のお寺を、家族に探させることになりかねません。

ですから、覚えていられる日を決めて、年に一度見直してください。引っ越し、結婚、身近な人との別れのあとには、それより早く。名前を挙げた人たちが、今も自分が名指しされていることを知っているか確かめてください。年に10分で、その覚え書きは、あなたが実際に生きている暮らしを描いたままでいられます。

よくある質問

家族は葬儀の希望に従わなければなりませんか?法律上は、多くの地域で「いいえ」です。葬儀を執り行う立場の人が決め、あなたの希望は要望として扱われます。実際には、たいていの家族ははっきり書かれた覚え書きに従います。希望が実現しない原因は、逆らわれることではなく、間に合ううちに誰も見つけられなかったことのほうが、はるかに多いのです。扱いは国によって違いますので、お住まいの地域を確かめてください。

葬儀の希望を遺言書に書いてもいいですか?書けますが、それだけで十分なことはめったにありません。多くの地域で、遺言書に書いても葬儀の希望に拘束力は生まれませんし、遺言書は葬儀が終わってから読まれることが多いからです。同じ希望を、家族が最初の数日で目にする場所にも置いてください。

葬儀の希望はどこに置いておけばいいですか?一か所ではなく、複数の場所に。実務的な書類と一緒に、取りまとめを頼んだ人の手元に、そして、見つけられるのを待つのではなく、人のところへ届く形で。

付言のような覚え書きとは何ですか?遺言書のかたわらに置かれ、遺言書が語らないことを説明する、平易な言葉の覚え書きです。葬儀の希望、特定の品物を誰に持っていてほしいか、その決断の理由。ふつうは拘束力を持ちません。だからこそ、好きなときに更新できます。

葬儀の希望は、どのくらい細かく書くべきですか?家族がそれなしでは言い争うであろう決断を収めるのに足りるだけで、それ以上は要りません。埋葬か火葬か、式のかたち、誰が取りまとめるか、3曲、読み上げる言葉を一つ、そしてしてほしくないこと。これでほとんど尽きます。残りは、あえて空欄にしておきましょう。

Every person has a legacy®

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